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たまには短歌などいかが 五島諭著 緑の祠

 

 滅多に詩というものを読まない。格言めいた言葉は好きな割に、これまで詩という領域にとくべつ関心を持ったことがない。二十数年生きてきて、恥ずかしいことではあるが、初めて買った詩集がこの「緑の祠」ということになる。

 

 たまたま近所の大きな本屋に入った時に、表に数冊の詩集が置いてあって、ぱらぱらとめくってみて、「たまには詩でも読んで見るか」という気が起きて、それでこの短歌集を買った。くだらない話だが、価格にまず驚いてしまった。1700円(税抜)である。

 大学生のとき、同じ驚きを、フランス語の文法書を買い求めた時に思った。似たような厚さの英文法書の倍の値段がしたのだ。要するに、需給のバランス、均衡価格ということなのだろう。

 

 正直にいうと、詩というもの、あるいは短歌というものをどう味わえば良いのか、解っていない。それでも家に帰って読んで見ると、なかなかに楽しい。声に出さなくても、「どれ、この一首は本当に5・7・5・7・7になっているのかな」などと、素人臭く言葉のつながりを分解して見ると、意外な発見もあったりして、散文を、つまり小説を読んでいる時と比べて、日本語というものにじかに触れている気がするのだ。

 

 好みの歌も何首か見つかった。

 

物干し竿長い長いと振りながら笑う

すべてはいっときの恋

(五島諭著 『緑の祠』p.19) 

 

 詩のイマジネーションに小説は決して勝てない。