良い演奏のためには

むかし外国でアマチュア吹奏楽団に所属していたことがある。ひょんなことから見つけたその市民楽団に私は入り、たったひとりの日本人、というかたったひとりの外国人として演奏活動を行っていた。当然のことながら、最初はかなりびびりながら練習に行ってい…

何かを発見するとき

一人で旅をしはじめたのはいつだったろうか。一人でどこかへ旅をすると、新しい何かを自分に付け加えられたような気持ちになれる瞬間がある。私たちはなぜ旅をすることで閃いたり、気づいたり、見つけたりした気になれるのだろうか? 生まれて初めて、一人で…

外国語を学ぶということについて

マレーシアで生まれて初めてトランジットを経験した時のことである。クアラルンプールの空港で、六時間後のフライトまで何もすることがなく、私はソファに深く身を沈めてただぼおっとしていた。右から左へ、色々な顔の人がゆく。色々な言葉が聞こえる。その…

外国で生活することについて

留学生のルーツをたとえば空海と最澄に求めることは無理のある議論だろうか。かつてこの国では留学生ではなく留学僧(るがくしょう)という存在があった。留学僧はおよそ二十年のスパンで中国に住み、そこで勉強して帰国してからは国の根本のところで教えを…

読むということについて

読むという行為は、おそらく書くこと以上に、日常的に行われていることなのだが、深く考え始めると不思議な行為であることが分かってくる。私たちは読みながら(あるいは書きながら、でもあるのだが)自分自身の中にある内なる存在、その声を聴いている。そ…

書くということについて

私は自分の音楽的才能に関しては多少の自信を持っている(それは過去の実績から来るものだ)が、文学的才能などというものは微塵も信頼していない(つまり実績が無いということだ)。いずれにせよ、何かをする時(楽器を演奏したり、小説を書いたり、あるい…

音楽について

私が大学生の時、しばらく日本を離れることになったことがある。私は大学のオーケストラに所属していたのだが、離れ離れになってしまう後輩たちのために、私なりに音楽について考えたことを書いた一冊のノートを残した。その中でもずいぶん音楽のことを書い…

私信 夢我システム様へ

『警視庁警察官 ~深夜の銃声~』 夢我システム 作 御作、拝読いたしましたので、感想など記させていただきます。 私は二度読みました。 まず全体的な感想としましては、ひとつの物語として独立した魅力を持っているものの、前半部分(「私」が女を抱きとめ…

女のいない男たち 村上春樹

村上春樹さんの短編集発売:朝日新聞デジタル 扉を開き、物語の迷宮へ 村上春樹さん新短編集レビュー:朝日新聞デジタル 各所で話題になっていますが、村上春樹の新作短編集が発売になりました。 早速読みましたので、まず全体について極力ネタバレ抜きでざ…

しょっぱい小説 重松清 「とんび」

高校生の時担任の教師に薦められて「その日のまえに」を読んだのが私と重松清の出会いだった。 その時ちょうど村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいて、「その日のまえに」とは随分違う作風なのだけれど、どちらも結局は人の死を、それも愛する人の死を扱…

アラン幸福論 4.神経衰弱

Tetsugakudou Park_14 / ajari さて、アラン幸福論の訳も第四回まで進みました。 今回のテーマは「神経衰弱」です。前回の「哀しいマリー」とも通じる話です。 少し寒い天気が続きますが、もしかすると春にぴったりなテーマかもしれませんね。 過去のエント…

人生のごった煮 サイダーハウス・ルール ジョン・アーヴィング

さて、ジョン・アーヴィングのサイダーハウス・ルールをご紹介しましょう。 アーヴィングというのは現代アメリカの小説家の中で最も重要な一人と言っても良いでしょう。彼自身はディケンズを尊敬すると言っていることからも分かるように、いわゆる現代的な小…

世界を滅ぼす言葉 伊藤計劃 「虐殺器官」と「ハーモニー」

最近立て続けに伊藤計劃さんの「虐殺器官」と「ハーモニー」を読みましたので、その感想など。 世界を滅ぼす言葉 「虐殺器官」 「虐殺器官」というタイトルからして、何やら血なまぐさい話かなあと思っていたのですが、多少は血なまぐさかったですが、「言葉…

西岡兄妹 自選作品集 地獄

以前、西岡兄妹の「神の子供」を紹介しました。あれは言ってみれば長編のひとつの作品でしたが、今回は短編集です。 この作品集「地獄」には、表題作の「地獄」を含む十二編が収録されています。 書き下ろしの一作品を除けば、どれも90年代に発表されたもの…

フランス語学習のためのウェブサイト5選

Studying / Skakerman 語学学習というのは、独力では難しいものがあります。 話せるようになるには、まず読める必要があり、読めるようになるには、正しい文法の知識が必要です。文法には原則と例外があり、これらを体得するには相当量の演習が必要です。も…

アラン幸福論 3.悲しいマリー (Marie triste.)

さて、アラン幸福論も第三回まで訳して参りました。 今回は内容も分かりやすく、フランス語も平易なので、学習にはうってつけかなあと。 フランス語を勉強されているかたは、ぜひ原文と対照させて読んでみてください(私が大分荒っぽく訳しているのがばれそ…

村上春樹新作 『木野』 を読む

というわけで、読んでみました。いち村上春樹ファンとしては新作が出たらすぐに読みたいところ。 その男はいつも同じ席に座った。カウンターのいちばん奥のスツールだ。 お、来ましたね、という感じ。スツールですよスツール。 私が初めて村上春樹を読んだの…

レター教室 三島由紀夫著

手紙を書く人が減れば減るほど、その行為はとくべつなものになっていくだろう。 三島がこの作品を書いた時代に比べて、今は手紙を書く人は少なくなってしまったに違いない。 私くらいの世代では、もはやメールさえ廃れている。仕事で電子メールを使うことは…

電子書籍と紙の本2

電子書籍、消える蔵書 企業撤退で読めなくなる例も データ、所有権なし:朝日新聞デジタル 先日、アマゾンでカート・ヴォネガットの作品をいくつか購入した。 タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF) 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,和田誠,浅倉久志 出版社…

イニシエーション・ラブ 乾くるみ著

イニシエーション・ラブ (文春文庫) 作者: 乾くるみ 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/04 メディア: 文庫 購入: 55人 クリック: 588回 この商品を含むブログ (402件) を見る この間知り合いの女の子と飲みに行った時に薦められた本。 私もたいがい酔…

2.いらだち アラン「幸福論」より

人が喉を詰らせてしまったとき、体の中は大騒ぎになる。差し迫った危険がそこにあり、全身が警告を発しているような状態になる。筋肉はこわばり、激しい動悸がする。これはある種の痙攣である。さて、こういった状態にはどう対処すればいいのだろう?人はこ…

1.ブケファロス ~アラン「幸福論」より~

ブケファロス 小さい子供が泣いていて、慰めてみてもダメなとき、保育士は子供の性格についてすばらしいさまざまな仮定を立てる。いったい何がこの子供を喜ばせたり、不快にしたりするのだろうかと。もしかしたらこの子供の性格は、父親の遺伝なのかもしれな…

アラン「幸福論」を訳す

アランというフランスの哲学者がいて、「幸福論」という本を書いた。 結構有名な本なので、ご存知の方も多いだろう。 幸福論 (岩波文庫) 作者: アラン,Alain,神谷幹夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1998/01/16 メディア: 文庫 購入: 12人 クリック: 79…

ナビィの恋

白い巨塔の再放送をしていたので、欠かさず録画して全部観た。 いいドラマですね。2004年?のドラマだけど、もしかしたら最後に観たいいドラマかもしれない。それくらい、熱中して観られるドラマが減ったように思う。 しかし、時間が経ってから観るとどうも…

アマゾンが示す未来

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていたので楽しく読んだ。 (ニューヨーク・タイムズから)無人機宅配の時代 30分で手に入れたい?:朝日新聞デジタル 残念ながら会員しか読めない仕組みになっている。 関連記事はこれだ。 アマゾンの無人機配達、本当に…

太宰治がもし現代に生まれていたら

意味の無い空想だとは思うけれども、『如是我聞』を読んでいるとそんなことを空想してしまった。 『如是我聞』(青空文庫) http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1084_15078.html これは、太宰の最晩年のエッセイである。 ちなみに私は太宰の作品は…

つまらない時代

つまらない時代に生まれたな、と思うことが時々ある。 仕事で朝早くに東京駅から新幹線に乗り、新大阪で降りた。そして地下鉄の御堂筋線のホームで電車を待っていた。 テレビでよく見る女性アイドルの、拡大された顔が目の前にある。しかもその顔は微笑んで…

サッカー観戦の肝

今日なんとなくテレビを付けたら、フランス代表とウクライナ代表の試合を放送していたので観てしまった。 私自身は文化系なのでスポーツをほとんどしない。時々ジョギングしたり泳いだり、友達とたまに軽いスポーツをすることはあるが、本格的にスポーツをや…

芥川龍之介はスゴい

かなり唐突な話になるが、芥川龍之介はスゴいと思う。 さて何が凄いのか、というのはここで言うまでもないだろうが、最近改めてそう思った。 と、いうのも、コレを読んだから。 文芸的な、余りに文芸的な 作者: 芥川竜之介 発売日: 2012/09/27 メディア: Kin…

村上春樹 新作 「ドライブ・マイ・カー」を読む

村上春樹さん新作短編は「ドライブ・マイ・カー」:朝日新聞デジタル 先日のエントリでご紹介した「ドライブ・マイ・カー」、今日文芸春秋買って読んだ。 村上春樹好きにも色々タイプがあると思うのだけれど、私なんかは村上春樹から読書が始まったので、幸…

The Weepies  ウィーピーズ

クラシック音楽を聴いている人は、他のジャンルの音楽など聴かない、と思われがちなのかもしれない。 昔は私もそういう風に「思われている」のではないかと思っていたが、案外そうでもない。 私は聴いている音楽の3分の2くらいが広義のクラシック音楽だと思…

村上春樹の新作

村上春樹さん新作短編は「ドライブ・マイ・カー」:朝日新聞デジタル これ、まだ読んでいない。 正確に言うと半分くらいは読んだ。立ち読みで読んだ。 今から出かけるので本屋で買おうかなと思っている。しかし文藝春秋買うってのがいまいち気がすすまないと…

本に出会うこと

今日は西岡兄妹の「神の子供」という本を読んだ。 神の子供 作者: 西岡兄妹 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2010/11/30 メディア: コミック クリック: 94回 この商品を含むブログ (3件) を見る あまりに素晴らしい本だったのでここで紹介している。 ちな…

そして秋はいなくなった

私がどこに住んでいるかはともかくとして、いよいよ朝が寒い季節がやってきた。 私は基本的に早起きなタチなのだが、この季節はやっぱり辛い。 じゃあ暑いのと寒いのどっちがいいか、と言われたら、まだ寒い方がマシではある。 しかし本当に、秋というのはど…

借りものじゃない言葉

インターネットの隆盛というものを時々ふと考える。 私が子供の時にちょうど、インターネットというものが家庭にやってきた。 やってきた、と言ったが、はじめ、私の家にはインターネットに接続したパソコンが無かったからインターネットは出来なかった。だ…

リベラシオン 発砲事件

仏紙リベラシオン本社で発砲 1人重体:朝日新聞デジタル フランスの新聞社「リベラシオン」の編集部に銃を持った男が来て発砲したそうな。 「リベラシオン」といえばフランスでは有名な左派の新聞。 撃たれたのはカメラマンのアシスタントの男性だとか。 犯…

ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく 堀江貴文著

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく 作者: 堀江貴文 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2013/11/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 【反響が凄すぎる!】堀江貴文氏/最新刊「ゼロ」反響まとめ - N…

またブログを書く。

結局ブログを作ったのはいいが放置しがちになったので、「もういいや」という感じでブログを潰してしまった。 そうしてしばらくすると、また「ブログでも作ろうかなぁ」という気になるので困る。もとのブログを復活させようにも、完全に消去されたらしく、同…

テスト

テスト。