本紹介

事実は小説より奇なり 大平健著 顔をなくした女ーー<わたし>探しの精神病理

顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理 作者: 大平健 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1997/01/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理 (岩波現代文庫―社会) 作者: 大平健 出版社/メーカー: …

私信 夢我システム様へ

『警視庁警察官 ~深夜の銃声~』 夢我システム 作 御作、拝読いたしましたので、感想など記させていただきます。 私は二度読みました。 まず全体的な感想としましては、ひとつの物語として独立した魅力を持っているものの、前半部分(「私」が女を抱きとめ…

女のいない男たち 村上春樹

村上春樹さんの短編集発売:朝日新聞デジタル 扉を開き、物語の迷宮へ 村上春樹さん新短編集レビュー:朝日新聞デジタル 各所で話題になっていますが、村上春樹の新作短編集が発売になりました。 早速読みましたので、まず全体について極力ネタバレ抜きでざ…

しょっぱい小説 重松清 「とんび」

高校生の時担任の教師に薦められて「その日のまえに」を読んだのが私と重松清の出会いだった。 その時ちょうど村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいて、「その日のまえに」とは随分違う作風なのだけれど、どちらも結局は人の死を、それも愛する人の死を扱…

人生のごった煮 サイダーハウス・ルール ジョン・アーヴィング

さて、ジョン・アーヴィングのサイダーハウス・ルールをご紹介しましょう。 アーヴィングというのは現代アメリカの小説家の中で最も重要な一人と言っても良いでしょう。彼自身はディケンズを尊敬すると言っていることからも分かるように、いわゆる現代的な小…

世界を滅ぼす言葉 伊藤計劃 「虐殺器官」と「ハーモニー」

最近立て続けに伊藤計劃さんの「虐殺器官」と「ハーモニー」を読みましたので、その感想など。 世界を滅ぼす言葉 「虐殺器官」 「虐殺器官」というタイトルからして、何やら血なまぐさい話かなあと思っていたのですが、多少は血なまぐさかったですが、「言葉…

西岡兄妹 自選作品集 地獄

以前、西岡兄妹の「神の子供」を紹介しました。あれは言ってみれば長編のひとつの作品でしたが、今回は短編集です。 この作品集「地獄」には、表題作の「地獄」を含む十二編が収録されています。 書き下ろしの一作品を除けば、どれも90年代に発表されたもの…

村上春樹新作 『木野』 を読む

というわけで、読んでみました。いち村上春樹ファンとしては新作が出たらすぐに読みたいところ。 その男はいつも同じ席に座った。カウンターのいちばん奥のスツールだ。 お、来ましたね、という感じ。スツールですよスツール。 私が初めて村上春樹を読んだの…

レター教室 三島由紀夫著

手紙を書く人が減れば減るほど、その行為はとくべつなものになっていくだろう。 三島がこの作品を書いた時代に比べて、今は手紙を書く人は少なくなってしまったに違いない。 私くらいの世代では、もはやメールさえ廃れている。仕事で電子メールを使うことは…

イニシエーション・ラブ 乾くるみ著

イニシエーション・ラブ (文春文庫) 作者: 乾くるみ 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/04 メディア: 文庫 購入: 55人 クリック: 588回 この商品を含むブログ (402件) を見る この間知り合いの女の子と飲みに行った時に薦められた本。 私もたいがい酔…

太宰治がもし現代に生まれていたら

意味の無い空想だとは思うけれども、『如是我聞』を読んでいるとそんなことを空想してしまった。 『如是我聞』(青空文庫) http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1084_15078.html これは、太宰の最晩年のエッセイである。 ちなみに私は太宰の作品は…

村上春樹 新作 「ドライブ・マイ・カー」を読む

村上春樹さん新作短編は「ドライブ・マイ・カー」:朝日新聞デジタル 先日のエントリでご紹介した「ドライブ・マイ・カー」、今日文芸春秋買って読んだ。 村上春樹好きにも色々タイプがあると思うのだけれど、私なんかは村上春樹から読書が始まったので、幸…

ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく 堀江貴文著

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく 作者: 堀江貴文 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2013/11/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 【反響が凄すぎる!】堀江貴文氏/最新刊「ゼロ」反響まとめ - N…