時代を経てなお輝く評論 清沢洌評論集

 

 清沢洌という人の名はジャーナリズムを専攻していた頃からもちろん知っていたが、どういう文章を書いていたのか、どういう思想の持ち主だったかということは、恥ずかしながらこれまで知らなかった。

 

愛国心とは、すべての美と真をふくむものであろう」

 

 この一行に、清沢の思想、そして「であろう」という語尾に、彼の思想的立場が現れているように思える。

 

 まず経歴に驚いた。若くして戦前のアメリカに渡っている。現在渡米することとは比べものにならないような苦労を味わい、時代の空気を吸って暮らしていたようだ。そのことが彼を、終生鋭敏な、権力に対して実に鋭敏な感覚の持ち主にしてしまったようである。彼の思想、リベラリズムの立場からの権力批判は、今なお輝きを放つ。

 

 ふと思ったのだが、清沢はトランプのアメリカをどう見るのだろうか?