教育

国語と私

どうして手に取ったのか思い出せない本というのがある。若松英輔の「言葉の羅針盤」もそんな一冊だ。 読んでいると、思いがけず次の引用に出会った。 予もいづれの年よりか片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず 心をくるはせる道祖神のまねきにあひて取物手…

グアルディオラ的

私が働いている塾はいわゆる「個別指導」の塾だから、塾長であるところの私は、なるべく生徒と話す時間を持つようにしている。改まって面と向かって話す(たまにそういう機会もあるが)のではなく、ちょっとした雑談を毎週重ねていけるように心がけている。 …

数学と私 その3

3.別解と私 試験一週間前になると部活が休みになったので、そういう時、私はHRの教室に残って勉強をしていた。私のほかにもそういう生徒が何人かいたと思う。家では勉強できない人たちだ。ある日、一つの問題が私の手を止めた。 自分にとって大切な記憶は…

数学と私 その1

1.算数と私 根性のない子供だった。今では信じられないが、幼稚園の頃はガリガリに痩せていて、かけっこなどはベベ、リレーなんかが大嫌いだった。自転車も、逆上がりも駄目で、要するに、「できるまでやってやろう」という気概がない、ひょろひょろした子…

艱難汝を玉にす?

たとえば今私は、一週間以上休みなく働いたりすることがある。ただでさえ土曜日出勤なのだが、ときどき日曜も休めないこともあるのだ。しかしそれを特に苦痛だとも感じてないし、「クソ、休みたかったのになあ」とも思わない。必要だから働く、という意識で…

教育の未来を描く 中室牧子著 学力の経済学

かつてプラトンは、師ソクラテスとプロタゴラスとの議論を描く際、アテナイ人が議会に集まって議論をする様子を描写した。ソクラテス曰く、市民が土木建築に関する議論をするときは、建築家を招き、造船に関する場合は造船の専門家を呼ぶ。それらの専門家で…